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ディック・フランシス作品リスト
ディック・フランシス 競馬ミステリーシリーズ全41作品。(2008年11月時点)
ディック・フランシスは、どの作品もレベルが高い。
初期の作品の解説も解説の作家の間で、どれをベストにするのか議論がよくされるようで、その話のなかでも、票が割れる程の粒ぞろい。
シリーズではあるが、毎回、登場人物が異なり(2名例外)、また、その職業も多彩でこれが飽きさせない理由の1つ。
競馬関係の職業は勿論、ワイン商、宝石所、画家、ガラス職人、映画監督、俳優、ビール工場の経営者、銀行家等々。
よく言われるようにディック・フランシスの本を読むと、それらの職業や業界について妙に詳しくなった気がする程、よく取材をし描ききっている。シリーズといってもどれから読んでもいい小説。

よく知られるように、ディック・フランシス自身が女王陛下の馬に乗ってた花形騎手で、引退後に、新聞に競馬に関する記事を書くなどの執筆をしているうちに、本格的に小説を書き始める。
当初は、何故元騎手がこんなに小説を書くのが上手なのかと言われてたが、作家として有名になってからは、この作家は何故こんなに馬や競馬のことに詳しいのか、と不思議がらされた、という話もまた有名。

ディック・フランシスの競馬は99%が障害競馬。
日本ではほとんどが平地のレースなので、あまり馴染みがないが、英国では障害競馬が伝統と人気があるらしい。
景色というか風物の描写も秀逸。冬の朝のトレーニングセンターの様子や夕日の描写等目の前に情景が観たことないのにもかかわらず臨場感を感じさせる。また主人公の心理描写等は、無駄が無く簡潔なのがかえって繊細。

39作目『勝利』が出版された後に、共同執筆者と言えるディックの奥様がなくなったため、次の作品の執筆が危ぶまれていた。
そして6年のブランクを得て、40作目、シッド・ハレーを登場させてのた『再起』が出版される。
ディックの息子の協力を得たようだが、既に有名な登場人物シッドハレーを登場させたのはいいアイディア。
シッド・ハレーが登場すれば、誰が書こうと^^;面白くないわけがない。
が、いよいよこれがでシリーズ最後とほとんどの人が思った。が、これもまたうれしいことに予想が外れて、今度はきちんと息子との共同執筆として『祝宴』が出版される。これは思いの外、質の高い作品で、うれしい誤算。
今後も続くかと思うと二重にうれしい。

このシリーズでは、登場人物は毎回異なるが、例外として、二度以上登場したのは、シッド・ハレーとキッド・フィールディング。
隻腕の元競馬騎手で現在探偵であるシッド・ハレーとは、『大穴』『利腕』『敵手』『再起』の4度登場している。
シッド・ハレーものはどれから読んでも順番には影響がないが、『侵入』『連闘』は連続して出版されたこと、ストーリーも『連闘』が前作の続きとなっているので、この2作品だけは順番に読んだほうが良い。

1.本命 2.度胸 3.興奮 4.大穴 5.飛越 6.血統 7.罰金 8.査問 9.混戦 10.骨折
11.煙幕 12.暴走 13.転倒 14.重賞 15.追込 16.障害 17.試走 18.利腕 19.反射 20.配当
21.名門 22.奪回 23.証拠 24.侵入 25.連闘 26.黄金 27.横断 28.直線 29.標的 30.帰還
31.密輸 32.決着 33.告解 34.敵手 35.不屈 36.騎乗 37.出走 38.烈風 39.勝利 40.再起
41.祝宴

★★★★★
デビュー作。
職業:貿易会社勤務。アマチュア騎手
英国の競馬場の経営の模様が興味深い。日本とはずんぶん違うことがわかる。
本命馬アドミナルの乗った親友ビル・デイビットソンは障害競馬における彼としての97回目の優勝を目前にして、ビルの体は跳躍した弧の頂点からまっさかさまに落ち、その後を追うようにして、アドミラルがビルの腹の上にもんどりうった。
アラン・ヨークは、その疑問をぬぐいきれず、一人事件の謎を追い始めていく。レース後、障害を調べてみると、果たしてそこには針金による妨害の跡があった。八百長レースの影、競馬場の土地を狙うデベロッパの企み。事件は意外な展開に。ビルの替わりにアドミラブルに騎乗して望むビックタイトル戦のラストシーンは名場面。
『シー・ビスケット』を思い出す。
★★★★★+★
職業:騎手
シリーズの中でも評判が高い。これをベスト3に押す人が多い。
不安定な職業の実態が浮き彫りにされていて痛ましい。その騎手をさらに不幸にしていくという点で、シリーズ中もっとも邪悪な悪党の登場と言える。
主人公ロバート・フィンは、誰も乗らない駄馬にやっと騎乗機会を得られるという無名の騎手で登場するが、物語が進むに連れて、徐々にチャンスをものにしていく過程が痛快。しかし、フィンもまた何故か乗る馬が不調で惨敗が続き、とうとう騎乗依頼がなくなってしまう。
悪いうわさにもかかわらず、ロバート・フィンの才能を見出してチャンスを与える調教師ジェイムスが頼もしく、同様に苦境に追い込まれながらも明るい同僚騎手ティック・トックとの会話が楽しい。さらに、名馬テンプレイトの馬主ティロイド卿がジェイムスに送った手紙は感動的。
フィンを騎乗させないことに決めた後にそれを覆す手紙をジェイムスに送り、それをジェイムスがフィンに見せる。
「彼は(フィン)はこれまで幾多の勝利を収めてくれた。問題が生じたからといって非情にもたちまち彼を追い出したと言われたくない。私は競馬界の友人を失うよりは、レースを失った方がよい。」
そしてついに英国ビックレースの1つ、ミッドウィンター・カップにテンプレイに騎乗にして臨む。
ディックフランシスのレースの描写はいつも臨場感があり迫力がある。それも大きな楽しみの1つである。
★★★★★+★
シリーズ第三作。 
CWA賞(英国推理作家協会シルヴァーダガー賞)
職業:厩舎経営者
牧場経営者ロークが中々切ないいい役柄。再登場して欲しい人の一人。
両親を早くを亡くし妹達の親代わりとして、経営の苦しい牧場を、休むまもなく働き続けている日々に将来を希望を無くしていた。
厩務員の貧しくきびしい世界の情景もなまなましい。シリーズ前半の一押しの作品。『本命』『血統』がそれに続く。
英国では、障害レースで思いがけない大穴が十回以上も続出した。番狂わせを演じた馬には興奮剤投与の形跡が明白であったが、証拠が発見されなかった。
事件の解明を依頼されたロークは、厩務員に身をやつして、黒い霧の調査に乗り出す。
★★★★★+★
職業:探偵(元騎手)
シリーズ屈指の一作。シッドハレー登場!このシリーズで4度登場する。シッドハレーの2作目『利腕』はCWA賞、MWA賞をダブルで受賞、3作目『敵手』もまたMWA賞をした。
読者にまだなじみのない第一作の時点では、うだつのあがらない片腕の男として登場して話がすすんでいく。
障害レースで左手を負傷し、栄光から引きずりおろされた名騎手シッド・ハレー。失意の中引退し、ある探偵社から声をかけられるまま調査員として働く。
手は抜かないが、仕事に夢中になることもなく、淡々と仕事をこなす日々が続く。
ある日、彼に持ち込まれた競馬場に関わる事件や事務所の爆破事件等が、屍同然の彼に火をつけた。
調査の途中で知り合う顔にやけどの跡のある女事務員との交流が切ない。

シッドの才能に気づき、無気力のシッドを暖かく見守っている探偵事務所のメンバの個性も楽しい。
無気力の彼を雇ったラドナー探偵社のオーナ、終盤のシーンに、覇気を取り戻した彼に「やっとだな。2年(?)かぁ。長かったなぁ。」というセリフに心温まる。
シリーズ通して変わらない義理の父親(妻の父親)チャールズとの心温かい交流とその対極の別居中の妻との不毛な確執。
まったく嫌な女だが、このシリーズの何作目かで意外な妻の本音がきける。これも読みどころ。
★★★☆☆
職業:伯爵、アマチュア騎手
ヘンリイ伯爵は仕事を変える決心をする。ヘンリイは伯爵としての世間体の良い仕事を捨て、アマチュア騎手である自分を生かせる競走馬の空輸請負会社の馬丁におさまった。伯爵と馬丁のギャップが楽しい。
ヘンリイ空輸請負会社の奇妙な事に気づいた。前任の馬丁頭は行方不明、臨時雇いの馬丁も次々と姿を消すのだ。
いままた、主任のサイモンがイタリアで忽然と行方を絶った・・・競走馬の空輸をめぐり何か恐るべき企みが遂行されている。かくて、絶対的に不利な状況のまま、ヘンリイ伯爵は、一人、敢然と捜査に乗り出した。
★★★★★
職業:イギリス諜報部員
米国ダービー優勝馬の父親で、500万ポンドの名馬クリサリスが、輸送の途中ケンタッキー州で姿を消した。英国諜報部員ジーン・ホーキンスが、唯一の手がかりのハンカチだけを頼りに広大な米国を調査する。調査するうちに、クリサリスさけでなく過去にも同様の事件が2件あることがわかった。
【感想】
人生に、仕事に疲れきったジーン・ホーキンスが徐々に活力を取り戻していく過程が楽しい。その点ではシッド・ハレーとに似てるかも。事件の背景となる馬の血統ビジネスの事情、その盲点をついた犯罪が興味深い。シリーズ中大変評価の高い作品。
漸くたどり着いた犯人達のアジトへ侵入するシーンは白眉。
その他、米国で出会う調教師や馬主とのやりとり、また上司であるジムの娘リニーとの交流が微笑ましい。
★★★★★
職業:競馬記者
MWA賞(米国探偵作家クラブ最優秀長編賞)
「忠告だ!自分の記事を金にするな。絶対に自分の魂を売るな!」と謎の言葉を残しビルから飛び降りた競馬記者。
翌日、バートが新聞記事で、派手に人気を煽った馬の出走取り消される。出走前の取消しは賭け屋に莫大な利益をもたらすのだ。
何かある!と、同僚の記者タイローンは彼が不正に絡んでたと考え、追求を始める。
タイローンには結婚してまもなく全身麻痺となった妻を抱える。この二人の心の会話も切ない。
★★★★☆
職業:騎手
好きな作品.不気味なサスペンスたっぷり。
レース後、ケリイと調教師のクランフィールドは八百長の疑いで裁決委員会に呼ばれる。何かの勘違い、形式的なものだろうと、高を括ってたが、委員会は説明に満足せず二人を査問会にまわすことを決定した。その時になってもケリイ達はまだ差し迫った危険は感じていなかった。知り合いの査問会の有力委員もちょっとした手違いだという。
ところが、実際の査問会はケリイの予想に全く反し、弁明と訴えも一切聞き入れられぬままに二人は無期免許停止とされる。何か大きな陰謀が渦巻いてるか。
読者にもよくわからないまま、ケリイと一緒になって楽観から絶望へと徐々追い込まれていく。
★★★★☆
職業:小型飛行機のパイロット&経営者(個人事業主)。
日本では珍しい小型飛行機のタクシ。そういうビジネスがあるのかと興味深い。それなりに競争があり、ライバル会社との顧客獲得競争も激しい。
飛行機はチェロキーという機種で有名な機種のよう。
フランシス自身が戦時中に空軍のパイロットだったそうで、描写がリアルで迫力がある。『飛越』『烈風』もパイロット物。
パイロットのマット・ショウは、ある日、四人の乗客を乗せたチェロキーは飛ぶ。夏の乱気流にもまれながらも飛行を続けていたが、それとは別の、操縦に異常な感覚を感じる。
お得意先を無くすかも知れないと思いながらも、自分の感覚に従って、乗客の不平不満を押し切って予定外の着陸を決意する。
着陸は正常で、飛行機にも異常がなく、不平不満の乗客は休憩のために待合室に移動する。マットは思い過ごしか、上得意をなくしたか、とおもった途端に、チェロキー機が爆発する。この事件をきっかけにマットは乗客の信頼を得るが、さらに新たな策略がしかけられる。命を狙われているのは四人の乗客の誰か、何故か?
★★★★☆
職業:セールスマン(牧場主の息子)
ニール・グリフォンは調教師の父親を持つが、自身はセールスマン。だが、ある日、来るダービィの本命馬に指定する騎手を乗せろ、さもなくば厩舎の馬の脚を折る、との脅迫を受ける。 当然拒否すると、残酷にも厩舎の別の馬の足の骨を折る、という実力行使に出る。
なんという残酷な。しかし、考えてみると何とメリットがあるのか不思議な脅迫。だが、徐々に、脅迫者の意図が判明する。
なんと騎手志望の自分の息子に、その本命馬に載せたいがための残虐な行いだった。
この少年も父親の影響を強くうけてて、また邪悪な人間だが、この事件を通して、ニールへの尊敬の念を浮かべると共に、徐々に父親のやり方に疑問を持つようになってくる。その成長の過程も見所。
★★★☆☆
職業:人気アクションスター
リンカンは、映画のスタント・マンから現在最も人気のあるアクション・スターの地位を得た。
もっとも親しい友人あり、叔母のネリッサは余命わずかで、そのネリッサからある頼みを受ける。
彼女ももち馬である競走馬が原因不明の成績不振に陥っており、急激に、資産価値が急落しつつあったためだ。
エドワードは南アフリカへと飛ぶ。南アフリカに着いたリンカーンは、各マスコミからも注目されるが、その日に何者かに命を狙われる。
南アフリカというとダイヤモンド鉱山が有名だが、この作品にも部隊として登場する。ダイヤモンド鉱山の見学中にもまた命を狙われる。
いずれも九死に一生を得るが、何故ねらわれているのかが謎のまま。そして、とうとう映画の撮影中に巧妙な罠にかかって絶体絶命のピンチに。
★★★☆☆
職業:ジョッキークラブの探偵
ジョッキークラブの調査主任デビットは売上金の横領事件を調査するためにノルウェーに飛ぶ。現地に着いて間もなく、彼は事故を装った何者かにより、極寒の海中に放り出される。
北欧の競馬事情はまた英国と違うところが興味深い。
★★★★☆
職業:サラブレッド仲買業者。元騎手。
競走馬ビジネスの世界が興味深い。ジョウナ・ディアラムが襲われたのは、競走馬を競り落とし引き上げる途中のことだった。
サラブレッドの生産者に対して法外なリベートを要求し、拒否されたときには競売市場でその馬に買い手がつかないよう邪魔をする一味がいる。ジョウナもまた誘われるが拒絶する。
彼らは組織化をもくろみ、ジョウナだけでなく、他の中小の同業者たちに対しても激しい圧力をかけ始めていた。
中堅として実力を有し信用もあるジョウナは、強欲に業界を侵して行く組織にとって目の上の瘤であり、一連の奇妙ないやがらせが始まる。
★★★★★
職業:おもちゃの特許収益で暮らすお金持ち。馬主
長年信頼してい手、自分の持ち馬を預けていた調教師ジョディーに長年にわたり多額の金を搾取されつづけていた。
直ぐに解雇したが、ジョディーは当然の報酬だと逆に復讐を企てる。スコットの持ち馬の中でも最も優秀なエナジャイズを駄馬とすり替えてしまうという悪辣な手段を講じてきた!しかも「無慈悲に調教師を捨てた男」というレッテルを貼られ、世間の非難を浴びる。
評判のよい作品。読後感はさわやか。
★★★☆☆
画家と言う職業も新鮮で楽しい。『不屈』の主人公も画家である。
画家と言っても、馬を専門に描いている画家チャールズは、英国でおきた強盗殺人事件と放火事件の間に、豪州で購入されたマニングスの名画の消失という共通点を見出した。チャールズは真相を追うべく豪州へと旅立つが。
馬の画家ということで軽く観られるが、その絵を観ると皆んな態度が変わる様子が心楽しい。またオーストラリアの競馬事情も珍しく楽しい。
★★★★☆
職業:公認会計士
公認会計士でアマチュア騎手のブリトンは、障害レースで優勝を飾った直後に、彼は何者かに誘拐される。やがて彼は脱出するも、何故誘拐されたのがわからない。そうするうちにまたもや誘拐され監禁される。ねらいが何かわからない。
いったい何故、主人公と一緒になって読者も謎につつまれる。
途中で、ブリトンを助ける女性教師(といっても校長)が出てくるがこの交流がまた味がある。
★★★☆☆
職業:元騎手(ランドル・ドルー)
★★★★★+★
シッド・ハレー再登場!
米国探偵作家クラブ最優秀長編賞【英国推理作家協会シルヴァーダガー賞】
嘗ての花形騎手であり、現在は隻腕の敏腕調査員シッド・ハレー。
昔馴染みの厩舎から依頼が舞い込む。圧倒的な強さをみせる本命馬が、次々とレースに惨敗し、原因不明の病に冒されるという不幸に見舞われた厩舎。
2作目では完全に自信と勇気をを取り戻し優秀な調査員として世間でも知られる。それだけに、悪党の方もより慎重に油断なく冷酷になっている。
調査に乗り出したハレーを襲ったのは、「手を引かないと、残った右手を吹き飛ばすぞ」と。既に片腕であることの大きなハンデを追ってるシッドにとっては、恐怖のどん底に突き落とす脅迫だった。シッドはこの脅迫に負けそうになる…一旦は殆ど負けたとも言える。
この時の恐怖と誇りとの葛藤は読者にも痛いほどに伝わってくる。どっちかというと『もういいから』と言いたくなるぐらい。前作でシッドハレーのファンになった人には思いがけない贈りだ。
内容も前作の評判から期待を裏切らない傑作になっている。義父のチャールズとはさらに深い友情、お互いの思いやりが心打たれる。が、元妻(チャールズの娘)とは相変わらず。さすがのシッドも紳士らしさを無くすシーンもある。
★★★★☆
職業:騎手。アマチュア写真家
今度は写真。例によって写真の薀蓄があちこちで語られ楽しい。
嫌われ者の競馬写真家のジョージが交通事故で世を去った。騎手にとって屈辱的な写真ばかりを撮り続けた彼の死を悼むものは、少なかった…
主人公のノアは複雑な子供時代を過ごしていて、彼の祖母との確執が伏線として張られています。(この、祖母が面白い人。)
脇役の青年弁護士も良い味。過去を回想する主人公につきまとう影が、作品に深みを与えている。
★★★★☆
職業:物理の教師。
地味だが佳作。ストーリーにコンピュータが出てくる。初版が1981年なので、世間一般的にはパーソナルコンピュータになじみのない時代。
毎度のことだた、ディック・フランシスの取材力と専門知識の習得、理解力に感心する。
物理教師ジョナサンは、友人からあるテープ(ミュージックテープと同じ)を受け取るがその友人は、ボートの爆発事故で死亡する。
ジョナサンは、そのテープをコンピュータに詳しい同僚の教師に調べてもらったところ、コンピュータプログラムが録音(今なら記録と翻訳?)されている。その後、今度は自身が命を狙われることに。
実は、プログラムは勝ち馬の予想プログラムで、三回に一回はあたるという、驚くべきプログラムであることがわかる。
競馬ファン(ギャンブル好き?)の人にとっては夢のような話でワクワクしてしまう^^;
★★★★★
職業:銀行の重役
原題はBanker。
ロンドンの銀行の若き重役であるティム・エカタリンはいくつかの投資を手がけている。
その中で、ある小さな競走馬の生産牧場から、名馬「サンドキャッスル」を種馬として購入するために、巨額の融資申込みがあった。社内では危険視する声も上がったが、その結果によってはティムの能力が問われる難しい局面を迎える。
ティムもまた、「サンドキャッスル」のレースを観たことがあり、その馬の魅力と、生産者の情熱をかって融資を受ける。
ところが、サンドキャッスルの生駒に次々と奇形が生まれる。しかし、どこにも、異常は認められない。
生産牧場主は窮地に陥り、ティムもまた行内の立場が危うくなる。
例によって、この作品もまた、脇役やサブストーリが楽しい。さわやかな読後感でお勧め作品。
★★★★★+★
職業:誘拐専門の探偵(調査員)
最初に誘拐事件での犯人との身代金の受け渡しシーンは迫真。何とか人質を取り戻したが、犯人を逃がしてしまう。これが冒頭の出だしになっている。
話は変わって、次の英国の誘拐事件もまたハラハラドキドキ。これまた人質を取り戻すが、やはり首謀者は取り逃がしてしまう。
そして、今度は舞台を米国に移し、ふとしたことで、とうとう犯人達のてがかりをつかむ。
3つの作品が入ってるかと思うぐらい、各々、丁寧に書いていて、中身の濃い傑作になっている。一押し作品。
★★★★★
佳作。ワインとスコッチの話が興味深い。。
トニーは、半年前に妻を亡くし、人生の目的を見失いながらも酒屋を真面目にこつこつと経営している。
そんな時、トニーはあるレストランで偽ラベルで売られている酒を発見する。一本一本慎重に香りを嗅ぎ味見をする。レベルは違うが、どれも同じワインだったのだ・・・
しかもそれは氷山の一角で偽酒はワインだけでなく、スコッチも大量に出回っていたのだ。

フランシスの小説の共通することだが、話に出てくる登場人物がさりげないが作品に厚みを与えてる。
この作品も、酒屋を手伝う力持ちだが、知的障害のある少年が出てくる。ボトルケースを運ぶ仕事に徐々に自身と誇りを持って取り組む姿がほほえましい。時々ひと目を避けてワインを買いに来る近所の主婦、ワイン好きな紳士(終盤にこの紳士が取って置きのワインを主人公に振舞うシーンがある。)
主人公に指摘されるまで、偽造スコッチを知らずに店で出していた女性オーナも個性的。また、偽造酒事件を追っている刑事もよい。
★★★★★
職業:騎手
フランシス作品で珍しく2度登場するキット・フィールディング次作の『連闘』にも登場。
原題のロミオとジュリエット版。
先祖代々敵対するフィールディング家とアラデック家との時代をまたがる過激な対立が、過激さとは反対におとぎ話のようで妙におかしい。
主人公のキット・フィールディングには双子の妹ホリィがいる。このホリィが、先祖代々敵対するアラデック家の息子と結婚する。
この夫婦は各々の家族から孤立するが、苦しくとも幸せなヶっこ運生活をおくっている。あるとき、妹夫婦が経営する厩舎が、憎悪に満ちた中傷記事によって、経営危機に陥る。馬を預けていた馬主達が次々の馬を引き取っていく。誤解を解くために一人一人説得に回るが、中傷記事はさらに過激になっていき、とうとう絶望的な状態になる。
憎悪に満ちた中傷記事を陰で操る黒幕は誰なのか?何が目的なのか?双方の父親の思惑も加わり、複雑な様相を帯びてくる。

この作品にキットが「さる国の王女」という馬主が登場するが、キットとの会話や態度が楽しい。キットが所属する厩舎老いた調教師も味があり、いつものように、登場人物がよく描かれている。王女の姪と恋も楽しい。(が、次作『侵入』ではこの恋はピンチとなる。)
★★★★★
『侵入』の続編。
カシリア王女の夫は様々な事業を行っているが、そのうちの1つの共同経営者である古い友人がなくなり、息子があとを継いだ。しかし、その息子は邪悪な若者で、銃の製造販売の事業を行うことを提案したきた。が一族の名誉のためにそういう事業を嫌った彼は、これを断る。
その日から、卑劣な脅迫が始まり、キットに助けを求める。プラスチック銃の社会的問題を背景にした作品。
また、前作で目出度く結ばれたキットと王女の姪は、冒頭から、当人にも(当然読者にも)わからない理由で、姪はキットを避けて別の男性(これまた別の国の王子)とデートを重ねる。傷心のまま事件に取り組むキット。 それをカシリア王女は静かに見守っている。
カシリア王女は理由を知ってるようだ・・・
★★★★☆
職業:アマチュア騎手
楽しい作品。なんといっても登場人物が多彩に誰が誰なのわからない。アマチュア騎手のイアンは、絶縁状態が続いていた父のマルカムから、突然の連絡を受けた。

  5番目の妻が何者かに殺され、父自身も何者かに命を狙われているというのだ。犯人は巨額な遺産を狙う親族の中に居るのではないかと、危惧しているらしい。
わだかまりを残しながらも、イアンは父の護衛を引き受け、密かに犯人探しに乗り出す。
過去の妻達が全員出てくるし、その娘息子達も登場するので、誰が誰なのか1回では絶対理解できない。
★★★☆☆
この作品当りからちょっと質が落ちてきてファンをガッカリさせる。スランプかも。落ちても標準以上あるのが素晴らしい。
競馬振興のために、各地の競馬場でレースをしながら、車内ではミステリ劇を楽しむという趣向の特別列車が、カナダ・ジョッキー・クラブの支援で企画された。
モントリオールからバンーバーまで、ロッキー山脈を越えて驀進するカナダ横断鉄道。
その中に、危険な男が一人いた。英国人の馬主フィルマー。恐喝によって名馬を脅し取ったり様々な不正を働いている国際競馬社会の敵である。
★★★☆☆
職業:騎手
騎手デリックの兄は、宝石の輸入販売をしているが、その兄が死亡し、その事業と財産は弟の騎手デリックに引き継がれることになった。
しかし兄の遺品や帳簿等を調べていくうちに高額で購入したはずの、ダイヤが消えていることに気付いたデリックは、まもなく何者かに命を狙われてしまう。 
事件とは別に、デリックは遺品等から兄の生活をしり、もっと兄を頻繁に会えばよかったと後悔する。
この作品では、ダイヤの原石についての知識が豊富になる。(なった気がする。)
★★★★☆
職業:駆け出しの作家。
「駆け出し作家のジョン・ケンドルが調教師トレメインの伝記執筆を引き受けたのは空腹だったからだった。」で始まる。
念願の小説家としてのスタートを切ったばかりのジョンは、仕事がなくでどん底の経済状態にあったのだ。
畑違いの伝記の執筆をする事になった彼は、インタビューのためにトレメインの厩舎に一月の住み込みをする。
一見頑なで頑固なトレメインは徐々にその経歴や人柄が浮き彫りにされていき楽しい。また、その孫も心温まる。
ケンドールは、サヴァイヴァルのプロでもあり、ラストシーン敵の罠にかかって荒野をサバイバルするシーンにハラハラどきどきする。
東京に赴任していた英国外交官ピーター・ダーウインは、本国へ転勤になり、帰国休暇の途中マイアミに立ち寄った。そこでクラブ歌手のヴィッキーと知り合った彼は、なりゆきで、娘の結婚式のために英国へ行くヴィッキー夫妻を送っていくことになる。
ヴィッキーの娘ベリンダの住むチェルトナム競馬場近くの町は、偶然にも、騎手を父に持つダーウィンが幼年時代を過ごした場所だった。
ベリンダは勤めている動物病院の獣医ケンと婚約していたが、ケンの周囲には暗雲がたちこめていた。優秀な獣医である彼が手術した馬が何故か次々と原因不明の死をとげ、病院に悪い噂がたちはじめていたのだ。さらに、ダーウィンらが到着して早々、病院は放火され、焼け跡から身元不明死体まで発見された。
ケンの窮地を救おうとダーウィンは調査を始めるが、やがて幼年時代のこの町での記憶が次々と甦り、その記憶の中に事件の謎を解く重要な手がかりが隠されていることに気づく。従来の魅力に医学サスペンスの面白さも加えた、シリーズ第30作。
★★★☆☆
職業:競走馬輸送会社
競走馬輸送業も競争が激しく、効率よく運営しないと利益が出ない。この会社をささえるために一生懸命働く従業員が楽しい。
事件は、配送途中に載せたヒッチハイカーがそのまま車の中で急死したことから始まる。よく調べてみると、車体の下に金庫がついており、しらないうちに、どうやら車が何かの密輸につかわれていたよう。しかも、今回だけでなく何度も。
★★★★☆
職業:建築家
今回は建築家。それも古い家を再生するのが専門で、いつものようにこれにまつわる話が楽しい。
一族と関係をたってた建築家のモリスのもとに、競馬場の支配人が訪ねてくる。経営者である一族が、競馬場の売却を巡り対立している為、株の所有者であるモリスに株主総会に出席し売却に反対してくれというのだ。モリスの子供達が楽しい。
★★★★☆
職業:映画監督
映画監督トマは、たまたま老競馬ジャーナリストの臨終に立ち会う。死の直前の告解として過去の殺人告白を聞いてしまう。
彼が次作に選んだのは26年前に厩舎で起きた変死事件だった。 映画のシナリオ、リアルさを追求するうちに、老人の告白とが交錯する。
映画製作現場の模様が楽しい。
★★★★★+★
完全大復活。シッド・ハレー「大穴」「利腕」に続き三度登場。期待を裏切らない傑作!
シッドハレーが出ただけで星5つなのに内容も期待通りだった!
放牧中の馬の足を鋭利な刃物で切断するという、残忍な犯罪が連続して発生し、ハレーに事件の調査依頼が舞い込む。
可愛がっていたポニーを襲われた白血病の少女が、犯人を探し出して欲しいというのだ。だが、容疑者として浮かび上がったのは、ハレー自身が犯人とは信じたくない人物、親友であるテレビの人気司会者エリスだった。ところが、非道な犯罪者として彼を告発したシッドは、逆に世間の非難をあびる。エリスの人気に嫉妬しての中傷だというのが。捜査に誰も協力してくれず孤立する。
★★★★☆
貴族の血を受け継いでいながら、一人スコットランドの山中で孤独な暮らしを続ける青年画家、アリグザンダー・キンロック。
ある日、四人の暴漢に襲われ、危うく命を落としかける。
ビールの醸造会社を経営している義父が、心臓発作に倒れたとの知らせを受ける。急いで出向き話をきくと、義父の会社が倒産寸前であることを知る。
経理部長が莫大な資産を横領して姿をくらませたらしい。 暴漢におそわれたことと何か関係があるのか?
この作品は、事件とは関係なく、義父が住んでる館(お城)は文化遺産としての価値があり、その保護をめぐる保護団体とのやりとりが楽しい。
特に、老女は、城の中にある歴史的に非常に貴重な剣を取り上げるたまに、城の中の調査する権利を獲得するが、義父は、そんなものはない、と、城の中のある場所に隠す。大人たちの宝探しが始まる。この手強い容赦無い老女だが、ラストでアリグザンダーとのやり取りのシーンが感動的。
★★★★☆
アマチュア障害競馬
17歳のアマチュア障害競馬騎手のベン。父親のジョージが下院議員選に出馬し、政界のトップを目ざす戦いに、ベンは選挙活動への協力を誓う。
最後に決戦を向かえて、ベンは真の敵が誰かをジョージから聞かされる。選挙区でのジョージに対するスキャンダル攻撃と暗殺工作が待ち構えていた。
★★★☆☆
初めての短編集の登場となった。グランドナショナルに材をとった唯一の作品である「敗者ばかりの日」は以前から有名。
が、どっぷりとディックフランシスの世界に嵌りたい読者としては短編集では物足りない。
[収録作題名]
キングヒル・ダム競馬場の略奪/レッド/モナに捧げる歌/ブライト・ホワイト・スター/衝突/悪夢/強襲/特種/春の憂鬱/ブラインド・チャンス/迷路/敗者ばかりの日/波紋
★★☆☆☆
職業:気象予報士
シリーズ中もっとも期待はずれの作品。唯一といっていいぐらい馬と関係の無い作品だが、やはり競馬から離れると平凡になってしまうのかも。

気象予報士ペリイは同僚とともにカリブ海でハリケーンの目を横断する飛行に出た。しかし、その帰途、強風に揉まれ飛行機は海上に不時着、無人島に辿り着いた。たまたまそこではある犯罪が行われていた。
★★★☆☆
職業」ガラス工芸家&経営者
前作からやや持ち直し。が、このあと6年間新作が止まる。ガラス工芸の世界がまた楽しい。
★★★★★+★
前作「勝利」から6年ぶりの新作。殆どの人が前作でシリーズ終了だと思っていたうえの新作。しかも、シッドハレー登場ということで、ファンにとってはこのうえない、粋なプレゼント。
シッドも4度目の登場となると、過去の作品でのひ弱さがなくなり、すっかり強くなってしまい、ハラハラ感が薄いように思う。
ジェニーとの和解、チャールズとの会話にも年輪を感じ、いよいよこれでシリーズ最後かと寂しい気持ち。
★★★★★+★
職業:オーナーシェフ
史上最年少ミシュランのひとつ星を獲得した若きシェフ、マックス・モアトンが巻き込まれる事件。ニューマーケット競馬場の近くにみずからがオーナーのレストランを構えている。
平日なら1週間以上、週末は1カ月前には予約が必要な人気店で、前途は洋々だったが、彼が料理を担当した伝統の2000ギニーレースの前夜祭で食中毒が発生すると、将来に暗雲が立ちこめる。店の常連だった競馬界の有力者が次々と激しい腹痛と嘔吐に襲われ、窮地に追い込まれる。
前作の「再起」は6年ぶりのまさかのうれしい登場だったが、さすがに今度こそシリーズ最終話に相応しいと思っていたひとも多かったと思うが、ディックフランシスの息子との共著で再登場。
作品のレベルも予想外に高くますますこのシリーズが続くことを期待。

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